ドクターズネットワークNo.37号より

小規模ながら、地域の中核病院の役割を担う

堤院長は、「新医師臨床研修制度の導入以後、新潟県は隣の山形県とともに研修医の応募が少ない地域。そのためかどうか、この近くには医療崩壊をいわれている地区もあります。患者さんのほとんどは農業を営む高齢者で、いわば“古きよき日本”の姿があると思います。モンスターペイシェントには、まず巡り会うこともないはずです」と、病院の個性を説明する。
その目指すところは、小規模ながら救急医療から予防医療に至る医業全般と、介護・福祉までの幅広い活動。介護老人保健施設「優和の里」を併設し、近くには「グループホームしおかぜ」がある。それらを守備範囲に置きつつ訪問診療も積極的に行い、地域医療と老人医療を日々実践している。
そうした地道な作業を続けて、今年で開設11年目を迎える。住民有志の熱心な誘致によってできたという経緯があり、病院開設とともにつくられた「山北健康友の会」には多くの会員がいる。

山北病院で行う僻地研修とは?

同院での研修について、堤院長は残念そうに語る。「常勤医は、質量ともに十分とはいえません。しかも医師たちはロートルばかりで、パワーも不足がちです。しかし、この地区の高齢化率40%というレベルは、30年後の日本が高齢化率のピークを迎えるときの姿なのです。現在の若い医師たちが、いずれ現役中に直面する事態でもあるのだから、この地はそれを先取りしているともいえます。当院での研修から日本の医療全体に思いをはせた
り、医療制度のあり方などを考えるきっかけにしてもらえればと思っています」
同院に所属する一部の医師は、日本だけでなく海外の僻地医療に従事した経験をもつという。海外への医療支援などに興味のある人には、現場経験に基づいた貴重なサジェスチョンが得られるはずだ。
さらに、「僻地研修の指導などとはおこがましいのですが」と前置きしつつ、「当院では、研修医には即戦力としての期待をしています。もちろん、研修の中で当院や当地方のローカルな事情は手ほどきしますし、いろいろな意味で全面的にカバーします」と、控えめではあるが自信たっぷりに話した。
研修医が心がけることは何かと尋ねると、「急性期医療という面では物足らないでしょうが、得るものは必ずあると思いますので、患者さんや職員と仲よくやってください。放っておいても自発的に“活躍”する研修医が多いようですが、さまざまな病院行事などにも積極的に参加してください。特にスポーツ系のイベントには、半強制的に参加してもらっています。ウエイトトレーニングに興味のある人には、個人指導もしていますよ」と、ユーモアあふれる口調で話す。
徳洲会グループの東北ブロックでは、2カ月おきに「研修医の集い」が開催されている。実施されるのは、山北病院から80kmほど離れた庄内余目病院。各病院の研修医が一堂に集まり、自分が経験した症例などを発表するのが主な内容だが、内容が不出来だと質問の集中砲火を浴びることになる。毎回、ゲスト講師が招待されてのミニレクチャーも行われる。
「中部徳洲会病院の堀川義文名誉院長による『急性腹症のCTカンファレンス』も2カ月に1度行われていましたが、今のところ継続できるかどうかがはっきりしていません。とても勉強になるカンファレンスなので、嘆き、憤慨しているところです。
それは別にして、『研修医の集い』は有意義なもの。最後は懇親会ですが、そこでも活発な交流が行われます。離島・僻地研修は、各病院で2カ月間行いますが、そうして集まることができるのは一生に一度しかないので、とても思い出深いものとなるでしょう。2次会や、場外乱闘へと流れることもあるようですし(笑)」

茅ヶ崎ではできない多くの経験

山北病院で研修した橋本政敏医師(茅ヶ崎徳洲会総合病院2年次)は、次のような感想を寄せている。
「茅ヶ崎病院の離島・僻地研修先は、主に名瀬徳洲会病院、山北徳洲会病院、庄内余目病院です。私は、かつて夏スキーに来たことがある月山に近いという理由で、この山北病院を選択しました。
何でもそろっている茅ヶ崎病院と違って、ここでは検査機器や薬にも制限があり、その中でいかに患者さんに対応するのかを考えなくてはなりません。この2カ月間は、相当な勉強になりました。土地が違うと、患者さんが考えることもずいぶん違うものだと実感しました。
病院の5階に大浴場の温泉があって、リハビリ室には堤院長の私物のトレーニング機器が置いてあり、近くのスキー場まで車で15分。食事も品数が多くて大満足で、この2カ月間まったく退屈しませんでした。
山北地区の海岸の笹川流れという景勝地も、風の強い日には荒れ狂う大波が岩を叩きつけて、茅ヶ崎の海とはまったく違った表情を見せます。そんな風景からも、感慨深いものを受け取れます。
2年間の初期研修の最後に山北に来ましたが、選んで正解でしたし結果的には最高でした。院長をはじめスタッフの皆さんには、本当に感謝しています」

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